- 高く不動産を売却するには相場の把握が必要不可欠
- 全国で初めて市内全域を景観地区に指定。美しい景観を誇る芦屋市。
- 一戸建てのイメージが強い芦屋市だが、近年はマンションの取引も盛ん
- 市内全体的には地価は上昇中だが、局地的に下落も見られる
芦屋市は、交通の利便性と温暖な気候に恵まれた閑静な住宅地として、全国にその名が知られています。南に大阪湾を臨み、北には緑豊かな六甲の山々が連なり、四季の彩りに包まれた美しい住環境です。
芦屋市の中心部に位置する六麓荘は明治後半から大正時代にかけて街区整備され、今や日本有数の高級住宅街となりました。多くの政治家や経済人、芸術家が別荘を建てたことでも知られています。
ここでは、そんな芦屋市での不動産売却に役立つ、地域特性の詳細や不動産売却のコツについて紹介していきます。
兵庫県芦屋市の最近の様子
- 芦屋市内には厳しい景観の規制がある
- 六麓荘町(ろくろくそうちょう)は広い戸建しか建設できない
芦屋市は市の9割以上が住宅地です。商業地は阪急神戸線以南、阪神本線以北の比較的平坦な地勢に集まっています。2009年に芦屋市は市全域を「景観地区」に指定しました。景観地区では景観法により、地区内の建築物のデザインや建築物の高さ、壁面の位置、開発行為などが規制されます。
特に特徴的な取り組みなのが六麓荘町(ろくろくそうちょう)です。六麓荘町には一戸建て住宅の「最低敷地面積」を定めた「豪邸条例」があります。豪邸条例では「1区画400㎡以上」「戸建のみ」「敷地の4割以上(地区により3割)は庭として緑地にすること」などが定められています。
芦屋市と市民が一体となって、「国際文化住宅都市」を目指し、美しい景観を保つための努力をしているが伺えます。
しかし近年は条例の規制の中で、新築のマンションも数多く供給されています。西宮市との市境の翠ケ丘町や、山手の朝日ケ丘町には、総戸数が多く敷地の広い大規模なマンションも見られるようになりました。
不動産売却の流れを把握しましょう
まずは、不動産売却の流れを把握しましょう。全体像を把握することで売却の成功に1歩近づきます。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い手が見つかれば売却の手続きを行い、不動産を引き渡します。
不動産売却の際に重要なのは、「自分の不動産はいくらで売れるのか」という相場感を把握することです。不動産の売価をエリアの売買相場より高く設定しすぎると売れにくくなり、低く設定しすぎると自身が損をすることになります。納得のいく不動産売買を行うためには、プロのアドバイスや注意点を聞きながら売価を設定しましょう。
兵庫県芦屋市の相場を知ろう
- 芦屋市の地価はゆるやかに右肩上がりが続いている
- 兵庫県内でも最も地価が高い
- 不動産取引件数はマンション・戸建ともに微増
まずは兵庫県芦屋市の売却動向を簡単に掴んでいきましょう!
兵庫県芦屋市の地価・不動産相場の推移
芦屋市の2020年最新公示地価は平均36万9695円/㎡、2019年の最新基準地価は平均34万2318円/㎡でした。芦屋市の地価はここ10年ほどはゆるやかに右肩上がりが続いています。芦屋市の公示地価は兵庫県内で最も高く、全国市町村ランキングにおいても36位と、地価の高いエリアです。
芦屋市の最高価格地点は「芦屋市船戸町5-24」(72万5000円/㎡)で、最低価格地点は「芦屋市奥池町14-25」(5万5500円/㎡)です。地価は全体的には上昇傾向にあります。しかし、上昇を続ける駅に近いエリアがある反面、海に近い南浜町や浜風町、最も北に位置する奥池町は下落しています。
兵庫県芦屋市の売却動向や売却相場の動き
芦屋市で取引されている物件の最新の売却情報(2019年第1四半期〜2019年第4四半期)をみてみると、前半期と比較して、後半期の取引件数は、マンション、一戸建て、土地全てにおいて微減しました。売却価格につきましては、マンションは上昇、一戸建てと土地は下落しました。
参考)兵庫県芦屋市での直近の取引価格情報
中古マンション(駅距離基準値:10)
駅徒歩 10分以内 | 駅徒歩 10分以上 | |
---|---|---|
70㎡ | 3,700万円 | 3,800万円 |
75㎡ | 3,900万円 | 2,800万円 |
80㎡ | 3,400万円 | 3,350万円 |
85㎡ | 7,150万円 | 3,200万円 |
90㎡ | 6,300万円 | 7,800万円 |
95㎡ | – | 2,300万円 |
100㎡ | – | 4,350万円 |
※2019年取引価格中央値
戸建て(駅距離基準値:15)
駅徒歩 15分以内 | 駅徒歩 15分以上 | |
---|---|---|
80㎡ | – | – |
85㎡ | 4,500万円 | – |
90㎡ | – | – |
95㎡ | 5,500万円 | – |
100㎡ | 5,250万円 | – |
105㎡ | – | – |
110㎡ | 4,500万円 | 6,000万円 |
※2019年取引価格中央値
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
不動産価格に影響を与えそうな出来事
- 芦屋駅南口再開発計画で、駅前に高級マンションが建設される予定
- 計画への反対論も強く、状況は不透明
芦屋市ではJR芦屋駅の南側地区の大規模な再開発事業を予定していますが、事業費の高騰や新型コロナウイルスの影響による景気悪化により、計画の見直しを迫られています。
再開発計画の目玉は、駅直結の地上11階建の大型ビルの建設です。このビルは低層階が商業施設で、4階以上の高層階は豪華「億ション」になることが決まっていました。しかし、用地買収費など関連予算案が市議会で否決されるなど事業の先行きは未だ不透明です。市民団体からは、大規模な再開発ビルへの反対論も根強くあります。
この再開発計画が実行されるか、頓挫するのかによって、芦屋市の相場が大きく変動することは間違いありません。引き続き注意が必要です。
【売却のコツ】兵庫県芦屋市の地域特性を把握し、高く売るための戦略を練ろう
- 芦屋市は高級住宅が多く、魅力的な物件が多いエリア
- 歴史も古く、高度な文化住宅都市としての知名度も高い
- 2階建て・4LDK程度の住宅が建築できる広い土地が人気
地域特性を知るメリットとは?
不動産を売るときに、不動産会社に任せっぱなしにする人もいるようです。しかし不動産の売買では非常に大きな金額が動きます。自分の考えをしっかりもって、不動産会社と共に戦略を立てることで、自分の理想とする売却に近づくことができます。
特に地域特性を把握し、それに沿った戦略を立てることで、不動産をより高値で早く売ることにつながるのです。そのためには、エリアの特徴をしっかり把握して「自分が持っている不動産を買ってくれそうな相手は誰か」「チラシの文言をどんなものにすれば売れそうか」などを考える必要があります。
特に芦屋市は、人気があり、ハイレベルの物件も多く存在するエリアです。購入を検討している人により魅力的に自分の物件をアピールする必要があります。そのためにも、自分の物件を魅力的に見せる販売戦略は重要です。まずは地元に詳しく不動産売買の専門家である、不動産会社のスタッフと相談して考えることをおすすめします。
兵庫県芦屋市の地域特性・歴史や魅力
街の歴史と魅力
芦屋市の歴史は古く、「万葉集」をはじめとする奈良・平安時代の歌集や文学にたびたび芦屋の名前が登場します。「伊勢物語」によると、在原業平と思われる主人公が芦屋に住み、京の都からやってきた人々を『布引の滝』へ案内したと記されています。
今の芦屋市は昔は打出・芦屋・三条・津知と呼ばれる静かな村でした。楠木正成と足利尊氏の打出合戦や松若物語で知られる鷹尾山の悲劇などは芦屋が舞台となっています。
1871年の廃藩置県によって、芦屋村・打出村・三条村・津知村の四村が兵庫県管轄下に置かれることになりました。そして、1889年の市制・町村制施行によって四村が合併し、精道村が誕生します。精道村が芦屋市となったのは1940年の市政施行以降になります。
第二次世界大戦では甚大な被害を受けましたが、戦後になって高度な文化住宅都市として、見事に復興しました。芦屋市は「国際性と文化性あふれる住宅都市の形成」という目標のもと、今も尚進化を続けいています。
兵庫県芦屋市の人口推移
2015年の国勢調査における芦屋市の人口は、95,350人(男43,089人 女52,261人)で、前回の2010年と比較すると、2,112 人(2.3%)増加しています。1995年1月の阪神・淡路大震災の影響により減少していた人口は2000年には96%回復。震災前の人口(1990年調査時 87,524人)を超えて、今はゆるやかに増加を続けています。
兵庫県全体の増加率は、芦屋市の2.3%(2,112人増)を最高に、西宮市1.1%(5,210人増)、明石市0.8%(2,450人増)、伊丹市0.4%(756人増)、加東市0.3%(129人増)、加古川市0.2%(498人増)となっています。兵庫県では人口が増加しているのはこの6市のみです。
2015年の世帯数は41,881世帯(一般世帯41,851世帯、施設等の世帯30世帯)で、前回の2010年と比較すると2,128世帯(5.4%)増加しています。
兵庫県芦屋市で人気のエリアは?
ここ数年、大阪市への外国人観光客数の増加で、関西圏では大阪市を中心に景気が良くなっています。そのため、住環境が良くて、なおかつ通勤に便利なエリアとして芦屋市の人気も高まっています。
芦屋市において、もっともマンション購入希望者が多いエリアはJR芦屋駅周辺です。その中でも2000年以降に建築された専有面積70㎡〜100㎡のマンションが特に人気があります。
戸建においても、もちろん駅徒歩圏のエリアを希望される方が多いですが、子育て環境を重視し、バス便利用のエリアを希望される方も少なくありません。また土地に関しては、戸建てと同様に、駐車スペースが確保でき、2階建て・4LDK程度の広い住宅が建築できる土地が人気です。
兵庫県芦屋市で不動産売却をおこなう際のポイント・注意点
- 高級住宅地であることを理解して、地域特性を理解しよう
- 地域住民とのコミュニケーションをしっかりとる
- 物件に合わせたターゲット設定をする
ポイント・注意点1
芦屋市で不動産売却を行う時のポイントは芦屋市ならではの特性をしっかりと理解することでしょう。まずは芦屋市は兵庫県の中でも人気のエリアで、比較的高所得者層が多く住むエリアであるということが大前提です。
高級住宅地においては、住民達のつながりも強く、やや保守的な考えをもつ方が多いことも特徴です。不動産売買をスムーズに行うためには、その地域の方々としっかり事前にコミュニケーションをとっておくことも大切だと思われます。
ポイント・注意点2
芦屋市は兵庫県でも有数の高級住宅地であることから、不動産会社の数も多く、自分にあった不動産会社と出会うことはなかなか大変かもしれません。良い不動産会社を選ぶためには、まず自分のもっている物件の特性をしっかり理解することが大切です。
売りたいと思っている物件が比較的広く相場も高いものであれば、よりハイグレードに見えるように内装や外観に手を加えることも大切です。逆にやや狭小で、シンプルな物件であれば、単身者や学生向けにするのも良いでしょう。いずれにしても地元の不動産会社の意見をしっかり聞いて戦略を立てることが大切です。
まとめ
本記事では、不動産売却の基本的な流れと、芦屋市での不動産売却に役立つ相場情報や地価推移、街の特徴などを紹介しました。
- 芦屋市は人口も増加し、不動産価格も盛ん
- 芦屋市は市全体に景観規制があるので、不動産建設には注意が必要
- 高級住宅地なので、広さに余裕がある物件が人気
- 高く売るためには信頼できる不動産会社探しが大事
不動産を高く売るためには、エリアに対してどんな購入層が考えられるのか、地域特性と相場を把握し戦略を練る必要があります。その際、信頼できる不動産会社からのサポートは欠かせません。芦屋市での不動産売却をお考えの方は、該当エリアの不動産売却状況をリサーチした上で、あなたの希望に寄り添ってくれる不動産会社探しを始めましょう。