共有名義の不動産は管理が大変!相続する前に注意しておきたいこと

共有名義の不動産は管理が大変!相続する前に注意しておきたいこと

代々相続してきた不動産や夫婦で購入した不動産は、名義人が複数人の共有名義であることも多いものです。

ただでさえ不動産の相続は、名義の問題に加えて、家族構成やその関係性によって必要な手続きや書類が異なるため、話し合いの場も多くなりがち。その中でも、共有名義の場合は相続手続きが複雑になり、揉めごとに発展してしまうケースは珍しくありません。ここでは、共有名義の不動産を相続するにあたって注意すべき点や、その対策をご紹介します。

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不動産の共有名義とは

不動産の共有名義とは、1つの不動産に対して所有権を持つ名義人が複数いる状態を指します。それぞれの名義人(夫婦や兄弟、親子など)が、名義を共有している土地や不動産に対して持分に応じた権利を持っています。そのため、単独名義の物件に比べて売却や相続の話し合いや手続きが複雑になります。

不動産を購入する際に夫婦の共同名義で登記すると、実際の出資額や返済負担額に応じて持分が決まります。不動産の共有状態は登記の際に公示されるので、夫と妻が購入した不動産であれば共有割合は簡単に判別できます。

「法定相続分」により共有持分を決定

共有名義にする場合、被相続人との関係性や人数によって共有持分を決めることができます。これは「法定相続分」と呼ばれ、状況に応じ、相続できる割合が法律によって定められています。

例えば被相続人である夫名義の不動産を相続する場合、妻である配偶者とその子どもには法定相続分1/2が認められています。

  • 子どもが1人の場合、子どもの法定相続分は妻と同じ1/2です。
  • 子どもが2人の場合、子どもに割り当てられた1/2を子ども2人で1/4ずつ分けます。

夫と妻の共有名義の不動産を相続する場合

まず妻の共有持分を確認する必要があります。例えば妻が共有持分1/2を有している場合、夫の共有持分1/2を妻と子どもで相続することとなります。配偶者(妻)は1/2の1/2、つまり1/4を相続し、最初から所有している1/2の共有持分と合わせて1/2+1/4=3/4の共有持分を取得することとなります。

残りの1/4が子どもの相続分となり、子どもが1人の場合はそのまま1/4、子どもが2人の場合は1/4を2人で分けるので1/8ずつ相続することになります。

不動産を相続し、亡くなった人から所有権を相続人に移転させることを相続登記と言います。これまで相続登記は必須ではありませんでしたが、現在は義務化に向けた改正法案が審議されています(2020年秋以降に法案が提出される見通しです)。

共有名義不動産の相続時に発生しやすいトラブルとは?

共有名義不動産の相続時に発生しやすいトラブルとは?

相続する不動産が共有名義だった場合、どのような問題が起こりえるのでしょうか。

法定相続分通りでは折り合いがつかないパターン

先ほどと同じく、夫と妻の共同名義の家を妻と子ども2人で相続するケースを例にします。相続人である子ども世帯が同居していた場合や、被相続人の近くに住んで介護をおこなっていた場合、本人が法定相続分通りに相続することに納得できず、揉めごとに発展することがあります。

必ずしも法定相続分通りに相続をおこなう必要はないので、話し合いによって同居や介護をしていた子どもの相続割合を高くすることは可能です。遺言書で不動産などの分割方法が指定されていない場合、相続人全員が同意すれば相続割合を自由に決めることができるのです。

一部の相続人が不動産を相続する場合

同居や介護をしていない子どもにも、法定相続分の権利があります。不動産を相続する相続人は同居や介護をしていない子どもに対して、法定相続分に応じた金銭を支払う必要があります。必要額が用意できない場合、共有名義の不動産を相続することに関し、相続人全員から同意を得ることは難しいと考えましょう。

金銭的な問題以外には、不動産の評価額を地価で算定するのかどうかや、固定資産税の処理など、不動産評価額の算定方法に関する議論も必要になります。話しあうべき議題は、あらかじめ整理しておきましょう。

相続には相続人全員の同意が必要

  • 夫妻に子どもがいなかった場合、夫の父母や兄弟が相続人となります。
  • いずれも亡くなっているときには、姪や甥が法定相続人となります。

普段付き合いがない場合でも、遺言書がない限りは法定相続分を相続する権利はありますので、相続には話し合いが必要となります。

相続には相続人全員の同意が必要になるため、相続人が増えれば増えるほど難易度は上がります。相続人本人だけでなく、家族なども巻き込んで、より大きいトラブルに発展してしまうケースも少なくないようです。

相続した家が夫の父と夫の共有名義だった場合

次に、相続をおこなう前に不動産が夫の父と夫の共同名義であることが判明したケースを考えてみましょう。この場合、まず夫の父の相続人を確認する必要があります。戸籍謄本を取得すれば、夫の父の相続人を確認できます。

遺産分割協議書が作成されているケース

夫の父が亡くなった際の相続で「遺産分割協議書」が作成されている場合、手続きはそれほど複雑ではありません。夫の父の不動産を夫が相続できることを確認しましょう。

不動産の登記が夫の父のまま放置されているケース

夫の父の相続に関し、不動産に関する手続きが適切におこなわれなかった場合や、話し合いがうまくいかないまま相続人との関係が疎遠になってしまった場合、不動産の登記が夫の父のまま放置されてしまうことがあります。

こういったケースでは、相続人全員での話し合いが改めて必要です。夫の父の相続人(例えば相続人の1人である夫の兄弟など)が亡くなっていた場合、その妻や子どもが相続人として扱われることになります。

相続人間の合意形成は難易度が高め

相続税には被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うという申告義務と期限があります。しかし、不動産の名義変更手続きには期限がないため、名義変更をせずにそのままにしてしまうことも少なくありません。

共有名義の不動産を相続する際の争いで一番多いのが、相続人の意見が合わないことです。相続人が多ければ多いほど話し合いや手続きも複雑になるため、衝突も起きやすくなります。

相続する不動産が共有名義だった場合には、単独名義の場合よりも慎重かつ入念な話し合いが必要です。揉めそうだと感じたら早めにプロに相談し介入してもらうのも揉めごとを避ける1つの方法です。

共有名義不動産の相続の手続きと流れ・注意点

相続人の確定は早急に行う必要があります。

それでは、共有名義の不動産を相続する際の手続きと流れについて説明していきましょう。大きく分けて5つの段階があります。

①相続人の確定

相続が発生したら、最初に確認しなければならないのが相続人の確定です。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を、新しいものから古いものへと遡って取り寄せる必要があります。現在の戸籍を請求する際に、役所にその前の戸籍の場所を確認すれば教えてもらえます。

戸籍の請求は本人の本籍地以外では行えませんが、転居や転籍などで元の本籍地が遠方の場合には、元の本籍地の市区町村役場に郵送で請求することもできます。婚姻や転籍の回数が多いとその分取り寄せる戸籍は多くなり、日数もかかります。

ここで注意したいのが、戸籍を確認してみたら元妻の子や、養子、婚外子など相続人が知らなかった相続人が見つかる可能性があるということです。その場合は相続人が増え、相続が複雑になることも予想されます。

相続人の確定は早急に行う必要があり、特に想定外の相続人が見つかった場合などには、専門家にお願いするのがおすすめです。

②遺言書を確認

相続人を確定させるのと同時進行で行わなくてはならないのが、遺言書の確認です。公正証書で作成している場合は公証人役場で確認ができます。ここで注意したいのが、自筆の遺言書が見つかった場合です。決して開封せず、家庭裁判所に持参し検認してもらう必要があります。

特に、共有名義の不動産を所有し子どもがいない夫婦の場合、遺言書があるのとないのでは大きく状況が異なってきます。例えば「配偶者に全財産を相続させる」という遺言が残されていれば、相続人である兄弟や甥・姪には遺留分が認められていないため、トラブルを避けることができます。

ですが、第2相続人である両親には遺留分が認められていますので、遺言書があっても両親の求めがあれば遺留分相当の金額を支払わなくてはなりません。

③遺産を確認

遺言書の確認ともに、どのような財産が遺されているのか遺産の確認を行いましょう。
預貯金、現金や株式などを確認し、不動産の名義を確認しておく必要があります。また、山林などを持っている可能性がある場合は、役所で名寄せを行い、所有している不動産を確認してもらわなくてはなりません。

④遺産分割協議

相続人と遺産内容が確定したら、どのように遺産を分けるか遺産分割協議を行います。

相続人と遺産内容が確定したら、どのように遺産を分けるか遺産分割協議を行います。遺言があれば遺言書に基づいて遺産の分割を行い、遺言書がない場合には相続人で遺産をどう分けるか相談します。相続人全員が合意したら、遺産分割協議書を作成し相続人全員の署名と押印をします。

相続した不動産の名義を変更する場合は、各相続人の戸籍謄本と住民票、印鑑証明書が必要です。印鑑登録には時間がかかる場合もありますので、相続が発生することが分かった時点で印鑑登録を済ませておくことをおすすめします。

遺産分割協議がうまくいかなかった場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。相続人全員からがどのような分割方法を希望しているかを聞き、必要があれば資料等の提出や不動産の鑑定を行います。その上で解決案の提示や助言の元で、合意を目指した話し合いを進めていきます。

話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、自動的に審判手続が開始されます。裁判官による審判手続で必要な審理が行われた上、審判で結論を示されることになります。

遺産分割調停では相手と直接顔を合わせる必要がなく、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれます。合意までの期間は早い場合で3ヶ月ほど、長引く場合には数年続くこともあります。

⑤相続財産の名義変更

遺産分割協議が終わったら、相続した不動産の名義変更を忘れずに行いましょう。実家の家や土地を相続する場合には、土地と建物の所有権移転登記が必要です。

相続登記の際には戸籍謄本や住民票、相続する不動産の固定資産税評価証明書などが必要となります。また、遺産分割協議が行われた場合には、遺産分割協議書と法定相続人の印鑑証明書も必要です。

状況によって必要な書類は違いますので、注意しましょう。これが済むと、不動産名義が相続した配偶者や子どもに変更されます。

まとめ

不動産の相続は分け合って相続することは難しく、共有名義となれば相続人が多くなり、話し合いがまとまりにくくなります。

共有名義の不動産を相続する際には、戸籍を確認し相続人を確認することから始まります。不動産の相続は分け合って相続することは難しく、共有名義となれば相続人が多くなり、結論がまとまりにくいのが実情です。

ですが、合意形成ができないからといって名義をそのままにしてしまうと相続人が増え続け、ますます事態は悪化します。相続人のみでの話し合いはどうしても感情的になりやすいため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

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