- 高く不動産を売却するには相場の把握が必要不可欠
- 四日市市の地価はほぼ横ばい
- 名古屋まで30分のアクセスでベッドタウンとして機能
- 地域によって地価に差があるため、売却時には注意が必要
三重県四日市市は三重県最大の人口規模の都市であると同時に、中京工業地帯の代表的な都市のひとつです。四日市コンビナートに代表される化学産業は国内有数の規模を誇り、三重県の工業の中心地でもあります。
名古屋へのアクセスが良いことから、名古屋市内への通勤・通学車が多いベッドタウンです。一方で、四日市市内にある多くの工場へ県内各地から勤務のために多くの人が流入してくることから、ベッドタウンながら昼間人口比率が100%を超えているのが特徴です。
今回は工業都市とベッドタウンとしての2つの顔を持つ四日市市で不動産を売却するための方法を紹介していきましょう。
四日市市の近年の変化
- 四日市市は三重県最大の人口を擁している工業都市
- 名古屋のベッドタウンという一面がある
- 四日市市の相場はわずかに上昇中
三重県四日市市は、三重県最大の人口を擁する街であると同時に、全国10位の工業出荷額を誇る工業都市でもあります。また名古屋へのアクセスが良いことから、ベッドタウンの一面もあり、多様な特徴を持つ街といえるでしょう。
四日市市の不動産動向は、マンションよりも戸建てが多く売却される傾向にあります。不動産相場は三重県内では高いものの、平成に入ってからは下落傾向にありましたが、2016年に下げ止まり、2019年にはわずかながら上昇しています。
不動産売却の流れを把握しましょう
まずは、不動産売却の流れを把握しましょう。全体像を把握することで納得いく金額で不動産を売却することができます。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い手が見つかれば売却の手続きを行い、不動産を引き渡します。
不動産売却の際に重要なのは、「自分の不動産はいくらで売れるのか」という相場感を把握することです。
不動産の売価をエリアの売買相場より高く設定しすぎると売れにくくなり、低く設定しすぎると自身が損をすることになります。納得のいく不動産売買を行うためには、プロのアドバイスや注意点を聞きながら売価を設定しましょう。
四日市市の相場を知ろう
- 四日市市の平均坪単価はわずかに上昇している
- マンションと戸建の相場は下落傾向だが、土地相場が上昇し地域相場を牽引
- 公示地価も微増だが、人気エリアや名古屋に近い地域は地価が上昇中
まずは四日市市の売却動向を簡単に掴んでいきましょう
四日市市の地価・不動産相場の推移
四日市市の地価は、2018年と2019年で比べると0.72%高くなっています。2019年時点では 5万2655円/㎡です。そこから5年前にあたる2014年と比較すると、2.08%高くなっています。三重県全体と比較しても、地価は高いエリアであるといえます。
2019年時点の地価を見てみると、四日市市の売却動向の平均は前半期と比較して、マンションは65万円の下落、戸建77万円の下落とやや下落傾向です。しかし土地の売却価格が711万円増加しており、土地相場が地域相場を上昇させています。
土地に関しては売却に良い市況ですが、マンションや戸建を売却する場合にはタイミングを見計らっても良いでしょう。
四日市市区の売却動向や売却相場の動き
四日市市の不動産売却の傾向として、マンションに比べて戸建の売却実績が多いことが挙げられます。マンションの売却動向は、平均築年数22年、専有面積71㎡で1,431万円で取引されています。
戸建の場合、築年数17年で、専有面積は248㎡、売却価格は2,277万円です。売却価格はマンション価格、戸建価格共に下落しており、不動産相場を押し上げているのが土地の売却であることも四日市市の不動産相場の傾向と言えるでしょう。
四日市市全体の相場を見てみると、近鉄・JR四日市駅を中心とした市街地や、北東部の国道沿い、湾岸エリアは地価が上昇していますが、市内西部の山間地や南部の地価は下落傾向です。より名古屋に近い地域に人気が集まっている影響といえるでしょう。
参考)三重県四日市市での直近の取引価格情報
中古マンションなど(駅距離基準値:10)
専有部分面積70㎡ | 専有部分面積75㎡ | 専有部分面積80㎡ | 専有部分面積85㎡ | 専有部分面積90㎡ | 専有部分面積95㎡ | 専有部分面積100㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | 1,350万円 | 2,450万円 | 1,200万円 | 3,200万円 | 2,300万円 | – | – |
駅徒歩10分以上 | – | 1,600万円 | 2,200万円 | – | – | 2,500万円 | – |
※2019年取引価格中央値
戸建て(駅距離基準値:15)
延床面積80㎡ | 延床面積85㎡ | 延床面積90㎡ | 延床面積95㎡ | 延床面積100㎡ | 延床面積105㎡ | 延床面積110㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | 600万円 | – | 720万円 | 1,500万円 | 2,300万円 | 2,150万円 | 3,300万円 |
駅徒歩10分以上 | 750万円 | 1,025万円 | 750万円 | 2,300万円 | 1,700万円 | 2,000万円 | 3,650万円 |
※2019年取引価格中央値
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
不動産価格に影響を与えそうな出来事
- 近鉄四日市駅周辺で再開発の構想がある
- 再開発構想が実現すると、近鉄四日市駅へのアクセス向上が期待できる
四日市市の中心である近鉄四日市駅周辺では「近鉄四日市駅周辺等整備基本構想」という再開発構想があり、駅に隣接する中央通りの活用や、駅へのアクセス向上、近隣の商店街活性化を目指しています。
四日市市の中心市街地は、近鉄四日市駅とJR四日市駅を間に挟まれた地域ですが、この2つの駅を結ぶ中央通り一帯の賑わいと利便性を向上することが構想の骨子です。
この再開発構想では市内各地にアクセスするバスターミナルの整備も含まれており、整備が進めば駅周辺の混雑緩和や交通事故リスク、駅前自転車の放置問題など駅周辺で発生する様々な問題の解消につながり、駅周辺の利便性はより高まるでしょう。
特に、近鉄四日市駅周辺はこの整備事業によって地価が上昇することが期待され、周辺地域への相乗効果も期待できる構想です。
【売却のコツ】四日市市の地域特性を把握し、高く売るための戦略を練ろう
- 四日市は全国10位の工業出荷額を誇る工業都市
- 四日市ぜんそくのイメージがあるが、現在は完全に解決している
- 名古屋まで約30分のアクセスでベッドタウンとしての性格も併せ持つ
地域特性を知るメリットとは?
不動産の売却を検討している場合、地域相場や不動産を魅力的に売却するノウハウを持っている担当者に任せることができますが、売出価格や内覧対応など売主として対応しなければならない場面もあります。
このような場合に、地域や物件についてよく知っている売主が不動産の魅力を最大限にアピールできるような写真やキャッチコピーを作っておきましょう。
四日市市は名古屋へのアクセスが容易で地価が比較的安いことから、三重県内の周辺市町からの移住者によって人口が増えています。かつての四日市ぜんそくを連想する場合がありますが、現在では、徹底した環境対策によって快適な環境で生活できます。
四日市市の地域特性・街の魅力
四日市市の地域特性
四日市市は中京工業地帯を代表する都市のひとつで、市町村別の年間工業出荷額ランキングでは、全国で10位にランクインしています。愛知県豊田市と名古屋市と並ぶ中部地方の工業の要として多くの製品を製造しています。
四日市市には「四日市ぜんそくの街」という負のイメージがありました。しかし環境対策を全国に先駆けて条例化し、硫黄酸化物の総排出量を規制する総量規制を各工場に導入したことで環境は改善し、現在では安全に暮らすことができます。
また、名古屋市までの交通利便性が高いことから、名古屋方面への通勤・通学者が多くベッドタウンとしての側面も持っていることが特徴といえるでしょう。
ベッドタウンながら四日市市内の工場には多くの人が県内各地から通勤してくるため、昼間人口は100%を超えています。名古屋方面への通勤・通学者と四日市市で働く人の移動が活発な地域であることが地域特性といえるでしょう。
四日市市の人口推移
四日市市の人口は、2010年に30万7,766人、2015年には31万1,031人まで増加しました。2020年には31万1,855人に増加しており、人口増加数は三重県の中で最多です。
ただし四日市市の人口は2020年頃がピークとみられており、今後は緩やかに人口が減少していくことが予想されています。
中長期的には人口減少に伴う住宅需要の減少が考えられるため、不動産の売却を検討している場合には、需要減による相場の下落前に売却するのが良いでしょう。
参照:四日市市HP
四日市市の交通利便性
四日市市は、JR ・近鉄・山気鉄道・伊勢鉄道・四日市あすなろう鉄道の5つの事業者が市内に乗り入れています。特に近鉄四日市駅は近鉄名古屋駅まで30分程度でアクセスできることから三重県内の鉄道駅の中で最も乗降者数が多くなっています。
高速バスについては、三重県内の大手バス会社である三重交通が多くの高速バスを運行していることから名古屋方面だけでなく、首都圏や関西圏への高速バスも充実しています。また、駅から湾岸の工業地帯まで人員を輸送するための路線バス網も充実しており、バス移動の交通利便性が高い地域と言えるでしょう。
高速道路網も充実しており、東名阪自動車道や伊勢湾岸自動車道、新名神高速道路のインターがあり、現在建設中の東海環状自動車道が完成すると、名古屋方面や関西方面だけでなく北陸方面へのアクセスも向上します。
一般国道については国道1号線・23号線が基幹道路ですが、朝夕の通勤時間帯には混雑しているため、対策として周辺でバイパスが建設されています。
四日市市で不動産売却をおこなう際のポイント・注意点
- 土地以外の相場が下落しているため、売却予定の物件の相場に注意しておく
- 売却する際に、より魅力的なアピール方法があるか不動産会社に確認する
ポイント・注意点1
四日市市全体の不動産相場は、徐々に上昇していますが、内訳を見てみると相場が上昇しているのは土地だけで、マンションと戸建の相場は下落しています。これは、新築需要が高まっていることが理由と推測できます。
不動産売却を検討する際には、所有している物件の相場を確認してから売却するようにしましょう。特に、高く売却できるかどうかは物件の立地に左右されるため、地域相場や周辺の不動産の価格を見ながら売り出し価格を設定すると良いでしょう。
ポイント・注意点2
より高く不動産を売却するためには、不動産をより魅力的に見せるための工夫が不可欠です。例えば居住中の不動産を売りに出す場合、写真撮影の時には不要な荷物を片付けておいたり、内覧前にクリーニングを入れるなどの工夫をしておくのも一つの方法でしょう。
不動産売却は不動産会社と媒介契約を結んで購入希望者を探すのが一般的ですが、不動産会社と契約を結ぶ前に、不動産をより魅力的に見せるノウハウや、成約につながるような販売戦略を持っているかを確認してから契約を結びましょう。
まとめ
本記事では、不動産売却の基本的な流れと、四日市市での不動産売却に役立つ相場情報や地価推移、街の特徴などを紹介しました。
- 公示地価も微増だが、人気エリアや名古屋に近い地域は地価が上昇中
- 土地以外の相場が下落しているため、売却予定の物件の相場に注意しておく
- 高く売るためには信頼できる不動産会社探しが大事
不動産を高く売るためには、エリアに対してどんな購入層が考えられるのか、地域特性と相場を把握し戦略を練る必要があります。その際、信頼できる不動産会社からのサポートは欠かせません。
四日市市で不動産売却をお考えの方は、該当エリアの不動産売却状況をリサーチした上で、あなたの希望に寄り添ってくれる不動産会社探しを始めましょう。