- 高く不動産を売却するには相場の把握が必要不可欠
- 日立市の人口は減少しているが世帯数は増加している
- 土地や一軒家の売却価格が減少しているがマンションの売却価格は上昇
- 働き方や自然災害を念頭に置いて不動産の魅力をアピールすることが大切
日立市は、茨城県北東部にある地域で太平洋に面している自然豊かなエリアであるとともに、電機メーカーである日立製作所が創業した場所でもある、暮らしとビジネスが共存する地域でもあります。
茨城県の中でも日立市は北部に位置するため気温が低くなりやすいと思われがちです。しかし、太平洋や阿武隈高地に囲まれた地理的特徴から、夏は涼しく冬は温暖と、一年を通して過ごしやすい気候になっています。
ここでは、日立市の不動産事情や地域特性、不動産を売るときにオススメの方法まで紹介していきます。
日立市の近年の変化
- 日立市の土地の価値は毎年下がっている
- 不動産の値動きは大きくないが、時代の変化を注視する必要がある
日立市は茨城県内でも土地の価格が高い地域です。しかし、他の茨城県内の地域と同様に日立市の土地の価格も年々低下しており、不動産価値としては買い手にとって有利な状況だと言えます。
しかし、土地の価格は下落傾向であっても、下落幅はそこまで大きくなっていないため、値段が下げ止まっている印象も受けます。一方、マンションや一戸建ての売却価格も大きな変動が見られません。
今後数年間で価値が大きく下落することは考えにくい状況ですが、買い手のニーズの変化によっては再び大きく不動産の価値が変化する可能性もあるため、注意して不動産価値の推移を見ていく必要がありそうです。
不動産売却の流れを把握しましょう
まずは、不動産売却の流れを把握しましょう。全体像を把握することで納得のいく金額で不動産を売却することができます。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い⼿が⾒つかれば売却の⼿続きを⾏い、不動産を引き渡します。
不動産売却の際に重要なのは、「自分の不動産はいくらで売れるのか」という相場感を把握することです。
不動産の売価をエリアの買取相場より高く設定しすぎると売れにくくなり、低く設定しすぎると自身が損をすることになります。納得のいく不動産売買を行うためには、プロのアドバイスや注意点を聞きながら売価を設定しましょう。
日立市の相場を知ろう
- 土地と一戸建ての売却価格は緩やかに減少している
- マンションの売却価格は緩やかに上昇している
- エリアによっては土地が魅力的な金額で売買されている
まずは日立市の売却動向を簡単に掴んでいきましょう!
日立市の地価・不動産相場の推移
日立市の地価は、2019年時点で3万5,252円/㎡となっており、茨城県全体の地価と同様に毎年緩やかに下落しています。とはいえ、十王駅周辺では3,000万円を超える価格で土地が売買されたケースもあるため、場所によっては魅力的な金額で土地を売却できる可能性があるのです。
2018年第3四半期〜2019年第3四半期の期間で比較すると、後半期のマンションの売却価格は1,750万円と、前半期と比較して200万円の上昇が見られます。一方、一戸建ての売却価格は2018年後半期に1,199万円と、前半期よりも150万円減少しているのです。
土地の売却価格も2018年後半期に1,000万円を割り込んでいることを考えると、日立市ではマンションの売買の勢いが今後も増してくると考えられます。
日立市の売却動向や売却相場の動き
日立市の土地の価格が下落していると同時に、土地の売却価格も少しずつ下落しています。2018年第3四半期〜2019年第3四半期における土地の売買は105件と取引自体は活発に行われていますが、売却価格が減少していることを考えると、早めに売却の計画を立てておいた方が安心できるでしょう。
一戸建ての売却価格も、土地と同様に年々下落しています。2019年の時点では中古一戸建の販売件数は50件程度となっており、活発に一戸建てが売買されているわけではありません。
一方、マンションの場合は、2019年は前年よりも売却価格が上昇。日立市のマンション価格は毎年緩やかに上昇しているため、価格の見通しがつきやすいエリアだと言えるでしょう。
参考)日立市での直近の取引価格情報
中古マンションなど(駅距離基準値:10)
専有部分面積70㎡ | 専有部分面積75㎡ | 専有部分面積80㎡ | 専有部分面積85㎡ | 専有部分面積90㎡ | 専有部分面積95㎡ | 専有部分面積100㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | – | – | – | – | – | – | – |
駅徒歩10分以上 | – | – | – | – | – | – | – |
※2019年取引価格中央値
戸建て(駅距離基準値:15)
延床面積80㎡ | 延床面積85㎡ | 延床面積90㎡ | 延床面積95㎡ | 延床面積100㎡ | 延床面積105㎡ | 延床面積110㎡ | |
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駅徒歩10分以内 | – | – | 1,500万円 | – | – | 1,700万円 | 2,700万円 |
駅徒歩10分以上 | – | 1,430万円 | 1,625万円 | 2,000万円 | 1,300万円 | 2,450万円 | 1,200万円 |
※2019年取引価格中央値
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
不動産価格に影響を与えそうな出来事
- 日立市内で産業廃棄物処理施設の建設計画が進んでいる
- 建設される地域によっては不動産価格に大きな影響を及ぼす場合も
日立市では、茨城県の産業廃棄物処理施設を建設する計画が進んでいます。これは、笠間市にある「エコフロンティアかさま」が2026年頃に満杯になることが予測されているためであり、地域の住民は強く反発していると言われています。
地域で暮らす住民の日常生活や健康状態に影響を与えないよう、配慮しながら運営されるのはもちろんですが、新たに日立市で不動産を購入しようと考えている人にとっては、懸念材料になる可能性もあります。
具体的なエリアや地名は明らかにされていませんが、売却する不動産の場所によっては、不動産価格に大きく影響を及ぼす可能性があるので注視しておきましょう。
【売却のコツ】日立市の地域特性を把握し、高く売るための戦略を練ろう
- 日本の工業を支えている人やその家族が多く暮らしている
- 人口は減少しているが世帯数は増えているため不動産の需要はある
- エリアによっては利便性が低いところもあるため不動産価格に影響する
地域特性を知るメリットとは?
日立市は、日立製作所や三菱日立パワーシステムズといった大企業があり、そこで働く従業員や家族が多く暮らしているエリアです。また、太平洋に面していることから漁業も盛んで、自然と工業、暮らしが密接につながっている地域となっています。
このような地域特性を活かしながら、不動産の買い手にとって魅力を感じられるようなアピールをしていくことは、理想的な売却価格で売買を成立させるために重要です。
自分自身で売却相手を探すのも方法のひとつですが、不動産会社の協力を得ながら売却を進めていくことも考えておきましょう。
不動産会社の力を借りることで、自身では見つけるのが困難な買い手を探してくれたり、地域の実情に沿った魅力的なアピールポイントを買い手により魅力的に伝えてくれたりしてくれます。
日立市の地域特性・歴史や魅力
日立市の歴史
日立市は、約2万5000年も前の旧石器時代より先人たちが暮らしてきたと言われているエリアです。江戸時代以降は赤沢銅山など鉱山の採掘で有名になり、1905年になると鉱毒水問題を解決した久原房之助が日立鉱山を四大銅山の1つになるまで発展させました。
昭和になると小平浪平が日立製作所を創業し、地域の発展に大きく貢献。1939年に日立市が誕生し、鉱工業を柱として町が大きく発展しました。戦後の一時期は県庁所在地である水戸市のよりも日立市の人口が多いほどでした。
その後、日立グループが人員を再編したことによって、日立市の人口は大きく減少したのです。それでもなお人口の半数近くは日立製作所の職員や家族となっており、日本の工業を支える人たちがたくさん暮らしている地域だと言えます。
日立市の人口推移
日立市の人口は、1985年をピークに減少に転じており、2015年までは18万人を超えてましたが、2020年4月には18万人を下回るようになりました。
今後は、全国的に人口が減少していくのにあわせて、日立市の人口も少なくなっていくと考えられています。しかし、世帯数は2020年4月の段階で7万8,131世帯と、戦後以降上昇を続けており、人口が減少していく中で世帯を持つ人が増えているのです。
このことから、人口減少によって不動産の売買件数が減少していくわけではなく、家族構成やライフステージの変化などによって、不動産を購入しようと考える人が増えてくるという考え方もできます。
日立市で人気のエリアは?
日立市では、大甕周辺が人気のエリアとなっています。大甕は主要な駅が近くにあり他の地域への移動が便利であることに加え、飲食店などが多く立ち並び、利便性の高いエリアです。
豊かな自然に囲まれていることも特徴で、便利な生活を送りながらも、ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で暮らせるエリアでもあります。ただし、デパートやスーパーが遠くて不便を感じたり、夜間の静けさに不安を感じたりする人もいるようです。
エリアによって不動産価格の差が大きく開く可能性があるため、相場観をしっかり把握して値段を設定する必要があります。
日立市で不動産売却をおこなう際のポイント・注意点
- リモートワークの普及によって郊外に不動産を購入したいと考える人が増えると考えられている
- 売却する不動産が自然災害でどのような影響を受けるのかをはっきりさせておくことが大切
ポイント・注意点1
新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークやリモートワークといった働き方が推進されるようになってきました。
以前は都心への通勤が便利な場所で不動産を購入する人が多い傾向にありましたが、今後、わざわざ都心までアクセスしなくても働けるような時代になれば、郊外で不動産を購入してゆったり生活したいという人が増えてくる可能性が高くなります。
そのため、自然に囲まれた地域に住みながら、仕事や子育てを行いたいという人にとっては、日立市がより魅力的な地域に感じられるようになり、不動産を積極的に手に入れようと考えるでしょう。時代の動向に注視して不動産価格の推移を慎重に見極めていきましょう。
ポイント・注意点2
近年問題となっている自然災害ですが、太平洋に面している日立市においても、大規模な自然災害の発生が危惧されています。
中でも南海トラフ地震は太平洋側に住んでいる人たちの多くが気にしている自然災害であり、自然災害の発生を危惧して不動産の購入を躊躇する人もいると考えられるのです。
自然災害の発生を止めることは誰にもできませんが、自然災害が発生した時に売却しようとしている不動産がどのような影響を受けるのかを明確にしておくと、買い手に分かりやすい説明をした上で購入を検討してもらえるようになります。
まとめ
本記事では、日立市における不動産売却価格の動向や現場、日立市の不動産を売却する上で知っておきたい地域特性などについて説明しました。
- 売りたい不動産の地域特性を理解しておく
- 時代の動向によって不動産価値に与える影響を考えておく
- 不動産の魅力を最大限にアピールできるようにする
- 高く売るためには信頼できる不動産会社探しが大事
不動産を高く売るためには、不動産の持つ価値を最大限にアピールすることが重要です。周辺地域にどのような特徴があるのか、時代の動向を総合的に考えながら魅力的な価格で不動産を購入してもらえるように買い手に促す必要があります。
日立市で不動産売却を考えている方は、不動産の価値を適切に算定して、幅広い買い手の中から理想的な相手を見つけてくれるような不動産会社を見つけることが大切です。納得のいく不動産売買ができるように早めに相談しておきましょう。