- 高く不動産を売却するには相場の把握が必要不可欠
- ここ数年は土地の値下がりが続いている
- 駅前再開発やコンパクトなまちづくりによる不動産需要
- 日本三名園の一つ偕楽園近くの千波町がおすすめエリア
茨城県の県庁所在地である水戸市。首都東京から北東へ約100キロメートルに位置し、特急列車で約1時間、普通列車で約2時間、高速道路で約1時間40分です。東京のベッドタウンというほど近くはありませんが、都内への通勤・通学する人も多く、1日の平均乗車人員は約3万人です。
水戸市には日本三名園の一つ偕楽園が有名ですが、それ以外でも黄門祭りは95万人、梅祭りは58万人の観光客が訪れるなど、茨城県屈指の観光エリアでもあります。
ここでは、水戸市の不動産事情や地域特性、不動産を売るときにオススメの方法までご紹介していきます。
茨城県水戸市の最近の様子
- 茨城県の顔というべき市だが、近年存在感が薄くなっている
- つくばエクスプレス(TX)の開通で、近隣の守谷市とつくば市が人気に
- 2016年から快適でにぎわいのある水戸の街づくりを展開中
水戸市は茨城県の県庁所在地として、茨城県の中心的な役割を果たしてきました。しかし近年は近隣のつくば市や守谷市に人気が移り、水戸市の存在感は薄くなっています。
その最も大きな要因は2005年に開通したつくばエクスプレス(TX)の存在です。秋葉原とつくばを最速45分で結ぶつくばエクスプレスの開通に伴い、沿線である守谷市やつくば市では開発が急速に進み、人口も増加しました。
2015年に上野東京ラインが開業し、東京・品川までアクセス可能になり、水戸駅からの始発もできましたが、町の賑わいではやや出遅れた感が否めません。
水戸市は、2016年から快適でにぎわいのある水戸の街づくりを展開中です。2020年には水戸駅前のマイムビルがリニューアルオープンしました。マイムビルは丸井水戸店が入った水戸駅の中心的な商業施設でしたが、2018年に閉館していました。マイムビルが再オープンすることで、町に活気が戻り、住宅需要が高まることも期待されます。
不動産売却の流れを把握しましょう
まずは、不動産売却の流れを把握しましょう。全体像を把握することで売却の成功に1歩近づきます。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い手が見つかれば売却の手続きを行い、不動産を引き渡します。
不動産売却の際に重要なのは、「自分の不動産はいくらで売れるのか」という相場感を把握することです。不動産の売価をエリアの売買相場より高く設定しすぎると売れにくくなり、低く設定しすぎると自身が損をすることになります。納得のいく不動産売買を行うためには、プロのアドバイスや注意点を聞きながら売価を設定しましょう。
茨城県水戸市の相場を知ろう
- 路線価では全国の県庁所在地で唯一値下がりしている
- 公示地価も10年以上毎年下落している
- 居住誘導区域の地価の動向にも注意
まずは茨城県水戸市の売却動向を簡単に掴んでいきましょう!
茨城県水戸市の地価・不動産相場の推移
2020年1月に相続税や贈与税の算定基準となる路線価が発表されましたが、全国的に地価は上昇、または横ばい傾向の中で、水戸市だけが全国の都道府県庁所在地で路線価の下落を記録しました。
公示地価も、水戸市は2009年以降毎年下落。2020年現在の公示地価は 53,031円/㎡ です。1991年のバブルの時代は最高値31万710円/㎡だったことを考えると、その下げ幅は驚くものがあります。
相場に関しては、土地の相場は下落傾向、マンションの相場は上昇傾向です。中古一戸建ては、2018年と比較すると上昇していますが、5年前の2015年と比較すると下落傾向です。茨城県全体と比較すると、土地相場は守谷市・つくば市に次いで第3位です。
茨城県水戸市の売却動向や売却相場の動き
茨城県の県庁所在地でもあり、土地の取引件数は3300~3700件前後となっています。
近年の取引物件の特徴は、駅から徒歩10~20分未満の物件数が大きく増加。専有面積61~100平方メートルの取引が目立ちますが、最近では100平方メートル超の広いゆったりめの物件数も増加しています。
また、水戸市の人口はやや下降傾向にあるものの、世帯数は増加しています。ショッピングセンターに近い駅から少し離れた広めの戸建ても人気ではありますが、水戸市の立地適正化計画の一つとして、都市機能誘導区域に徒歩や公共機関でアクセスしやすい区域への住み替え誘導を行っているため、今後の居住誘導区域の地価の動向も見逃せません。
参考)茨城県水戸市での直近の取引価格情報
中古マンション(駅距離基準値:10)
駅徒歩 10分以内 | 駅徒歩 10分以上 | |
---|---|---|
70㎡ | 1,700万円 | 2,100万円 |
75㎡ | – | – |
80㎡ | – | 2,300万円 |
85㎡ | – | – |
90㎡ | – | – |
95㎡ | – | 3,500万円 |
100㎡ | – | 2,700万円 |
※2019年取引価格中央値
戸建て(駅距離基準値:15)
駅徒歩 15分以内 | 駅徒歩 15分以上 | |
---|---|---|
80㎡ | – | 1,170万円 |
85㎡ | – | 1,500万円 |
90㎡ | – | 1,850万円 |
95㎡ | 950万円 | 1,600万円 |
100㎡ | – | 1,800万円 |
105㎡ | 2,150万円 | 2,100万円 |
110㎡ | – | 1,700万円 |
※2019年取引価格中央値
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
不動産価格に影響を与えそうな出来事
- コンパクトな街づくりをめざし「立地適正化計画」を策定
- 2018年水戸駅周辺に大型マンションが建設された
2018年に駅から徒歩約10分のところに19階建ての大型マンションが建設されました。また、駅前水戸駅前三の丸地区第1種市街地再開発事業周辺の再開発が進んでおり、タワー型マンションや商業施設、ホテルオフィスなどを建設する計画は、駅前に人を呼び寄せる明るい材料と言ってよいでしょう。
水戸市はコンパクトな街づくりをめざし「立地適正化計画」を策定しました。市内に中心拠点や生活拠点を設定し、都市機能誘導区域や居住誘導区域を設け、医療福祉施設や商業施設など生活の利便に必要な施設配置を行い、住み替えを誘導する計画です。これにより、都市機能誘導区域の魅力向上や居住誘導区域の地価の維持が見込め、今後の不動産需要が期待できます。
【売却のコツ】茨城県水戸市の地域特性を把握し、高く売るための戦略を練ろう
- 水戸市の土地は値下がり続けており、不動産市況は良いとは言えない
- 水戸市の人口はわずかに上昇しているが、少子高齢化が進んでいる
地域特性を知るメリットとは?
茨城県水戸市の場合、物件は動いていますが、不動産市況はあまり良いとは言えません。自分の不動産を購入してもらうためには販売戦略はとても重要です。エリアの特徴から、買いたい人がどのような層か考えてみましょう。ただし絶対的な答えは無いので、詳しくは地元に詳しい専門家である不動産会社の人と相談することをおすすめします。
茨城県水戸市の地域特性・歴史や魅力
街の歴史と魅力
茨城県の中部に位置する水戸市は、茨城県の県庁所在地でもあり、水戸黄門(徳川光圀)や水戸納豆が有名です。水戸と呼ばれるようになったのは那珂川(なかがわ)の港として盛え、水運の戸口に由来すると言われています。
水戸市の原型が作られたのは江戸時代。1609年に徳川家康の11男・徳川頼房が水戸城主になると、水戸徳川家の城下町として整備され、今でも、水戸城址など市内に多くの歴史的建造物が残されています。また、千波エリアを中心に北部の上市と南部の下市とに分かれています。
茨城県水戸市の人口推移
水戸市の人口は国勢調査によると、2010年が268,750人、2015年が270,783人でした。 2020年6月現在では269,330人で、 比較すると10年間で+580人で0.22%の増加となっています。 また、世帯数は123,282世帯で、 前回調査のあった5年前の117,590世帯と比較すると、 +5,692世帯で、4.84%増加しています。
2020年の調査で、茨城県内の14歳以下の子どもの数は33万7050人で、茨城県の総人口に占める割合が11.9%と過去最少を更新しました。水戸市も少子高齢化の影響が大きく、まちづくりの課題となっています。
茨城県水戸市で人気のエリアは?
水戸駅から常磐線で17分の千波町です。自然環境が整った高級住宅街エリアと言われています。最寄駅は偕楽園駅ですが旧6号線沿いの水戸駅行きのバスの本数も多めです。水戸駅までのアクセスも良く、広い公園や緑地がたくさんあるので、のびのびと子育てができます。ショッピングプラザもありスーパーやドラッグストアなどもあります。
近くにある偕楽園は水戸藩主の徳川斉昭公により開園され、3,000本の梅を楽しむ梅まつりが有名です。千波公園は、春はお花見、夏には花火大会があり、園内のアスレチックも人気です。国営ひたち海浜公園まで車で約30分、笠間焼き有名な陶芸街までは車で約35分ほどです。
水戸市では、2018年にイオンスタイル水戸下市店がオープン。JR水戸駅から車で5分ほどで、江戸時代から商人の町として親しまれる下市エリアの商店街に面しています。また、2020年には水戸駅から車で約10分の元吉⽥町エリアにヨークタウン水戸がオープンしました。
茨城県水戸市で不動産売却をおこなう際のポイント・注意点
- 自分の物件が水戸市のまちづくり推進のエリアなのか確認する
- 水戸市の不動産相場はよくないが、駅前の開発が好材料である
ポイント・注意点1
売却したい物件が、水戸市のコンパクトなまちづくりの居住誘導地区や公共交通沿線地区に該当するか、アクセスしやすいエリアか、市役所のホームページなどで入念にチェックしてみるとよいでしょう。
水戸市は「住宅取得支援」「水戸市子育て世帯まちなか住替え支援補助金」への資金融資も充実しており、茨城県でも「移住支援金」を世帯100万円、単身60万円支給しています。
また、茨城県は2018年より本社・本社機能移転を対象とした補助額を上限50億円まで支援する制度を制定。2019年経済産業省発表の製造業等の県外企業立地件数ランキングで茨城県は第1位に輝きました。そのため、雇用増加や県内流入、今後の不動産需要が期待できます。
ポイント・注意点2
水戸市は土地やマンションは値下がりが続いているので、今物件を売っていいのかどうか迷うところでしょう。ただ明るい材料としては、数年間もストップしていた駅前の再開発などがここにきてやっと始動したことでしょう。
水戸駅前の西友跡地の活用策は7年近く決まらなかったのですが、やっとホテルやオフィスの入居する複合ビルを整備する再開発計画が動き出しました。
自分の物件の査定を依頼する場合は、1社に絞らず何社も依頼して査定結果の説明を記録しましょう。再開発計画などいち早くキャッチする姿勢やレスポンスがスピーディーな不動産会社がおすすめです。また、売却を成功した知人に成功例や失敗談を聞いたり、不動産会社の紹介をお願いするのもよいでしょう。
また、保守的・真面目・不言実行の水戸藩の気風も残っていると言われていますので、売却の際も意識しましょう。
まとめ
本記事では、不動産売却の基本的な流れと、茨城県水戸市での不動産売却に役立つ相場情報(マンション・戸建て・土地)や地価推移、街の特徴や魅力について紹介しました。
- ここ数年水戸市の労働人口はつくば市や守谷市に流出してしまった
- 土地相場は好調とは言えず、物件を売りたいなら専門家のアドバイスが必要
- 高く売るためには信頼できる不動産会社探しが大事
不動産を高く売るためには、地域特性と相場を把握した上での戦略と、信頼できる不動産会社からの協力が必要不可欠です。茨城県水戸市での不動産売却をお考えの方は、茨城県水戸市の不動産売却の市況を細かくリサーチしながら、パートナーとなる不動産会社探しを始めましょう。