2020年4月の民法改正により、以前「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものは、「契約不適合責任」へと名称と内容を変えました。今までは、売主もわからなかったこと(隠れたる瑕疵)に対して瑕疵担保責任をおっていましたが、この概念がなくなり「隠れていようがいまいが関係なく、契約に不適合になっているものに対して責任を負う」ことになりました。これによって売主の責任範囲が広がったことになります。本記事では、契約不適合責任とはなにか、そして売主はどんなところに気を付けたらいいのかを解説します。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、取引したモノが種類・品質・数に関して契約の内容に適合しない時に、売り手が責任を負うというものだ。
まって、全然分からない、、
すごく簡単に言ったら、売るときに伝えた物件の状態と、実際の物件の状態が異なる場合は、売主が買主に対して責任を負うってことだね。
なるほど、それだと買う側は安心だけど、売手はちょっと大変だね。
そうなんだ。ただし、大抵の契約で責任を負う期間は決まっているよ。売却してからずっと責任を負うってわけじゃないんだ。多くの場合、3か月以内に報告されたものまでは責任を負うという契約になっているよ。
なんだ!それならずっとひやひやする必要はないんだね!
買主が持つ4つの権利
でも、もし家を売却したあとに思わぬ破損が見つかった場合は、買主は売主に4つの権利を行使することができるんだ。
4つの権利?
そう。権利は全部で4つ。
「追完請求」「代金減額請求」「損害賠償請求」「契約の解除」だよ。
ひとつずつ説明するね。
追完請求:破損しているところを修理する代金を買主が売主に請求できる権利のこと。
代金減額請求:、追完が成立しないときに請求できる。その名の通り、代金の減額を請求できる権利のこと。
損害賠償請求:債務不履行や不法行為を受けたときに、その損害についての補償を求めるという内容。
契約の解除:契約を白紙にもどすこと。当事者の一方の意思表示によって、その効力が最初から存在しなかったのと同じ状態にすることをいう。
買主は契約から3カ月間、この権利を持っているんだね。
売主はこういった権利で請求を受けないために、どんな所を気を付けたらいいんだろう?
売却にあたって気を付けたいポイント
ポイントは、「特約・容認事項を盛り込む」「設備の責任は負わない」の2つだ。
ふむ、、?
一番気を付けるべきなのは、特約や容認事項をしっかり契約書に盛り込むことだ。特に、大きな問題である主要な構造(雨漏れ、柱、屋根、基礎、シロアリ)の問題に対して、契約不適合責任を免責にすることを優先して記載しておくことが大切。
他にも、売りに出した家が高速道路に近い場合には、「本物件の東側には高速道路があるため、振動、騒音、臭気等が発生する場合があります。」など、あらかじめ容認してもらうべき項目を明確にしておくんだ。
そうすることで、あとから問題になって代金請求されるリスクを減らすことができるよ。
なるほど~、つまり、不便だったり、問題になりそうなことは怖がらずにはっきり伝えておいたほうがいいんだね!
もう一つ気を付けてほしいのは、「設備の責任は追わない」ことを契約に盛り込むことだ。設備に関して補償していたらきりがないからね。設備とは主に、給排水・衛生・換気・冷暖房・電気配線・照明などのことを指すよ。
これが入っているか入っていないかで、その後のリスクが全然違うね。
そうなんだ。この2点は必ず自分でも入っているかチェックしよう。
まとめ
- 不適合責任とは、家の状態が契約と異なる場合に売主が責任を負うこと
- 売却をするときにはインスペクションを行い、容認事項等をしっかり記入しておく。設備の補償はしない