住み替え費用や相続税を捻出するために、現在所有している不動産を売りたいと考える方もいるのではないでしょうか。とはいえ、ほとんどの方にとって家の売却ははじめての経験です。その上、不動産売買の価格は高額なので不安を感じる方も少なくないでしょう。
不動産を売るときならではの特性は、売りたいエリアの不動産事情に大きく影響を受ける点にあります。高く売るためには、地域の事情や不動産相場、トレンド、人口推移などを把握しておく必要があるのです。
今回は、立川市で家の売却を検討している方に向けて、立川市の地元不動産会社の担当者にお話を伺いました。最近の立川市の市場動向や売却する際のアドバイスもいただいたので、立川市で不動産売却をお考えの方はぜひ参考にしてください。
今回取材した会社:住友林業株式会社
- 創業は元禄4年(1691年)。
- 本社の所在地は東京都千代田区。
- 住宅、不動産事業や木材、建材事業を中核に国内有数の規模を誇る企業グループ。
- 日本全国に支店やショールームを持つ。
- 取材に応じていただいたのは立川支店長の村田さん。
売却の流れを把握しよう
「家を売りたいけど、何から始めればいいのかわからない」方には、まず不動産売却の流れと相場を把握することをおすすめします。不動産会社への査定依頼は、その後からでも遅くはありません。まずは不動産売却の大まかな流れを知り、必要な手続きや優先順位を把握しましょう。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い手が見つかれば売却の手続きを行い、不動産を引き渡します。
【売却のコツ①】立川市の相場を把握する
家を売却するときに、はじめにしなければならないことはなんでしょうか?
まずは、売りたいエリアの相場を把握することです。不動産価格は、エリアによって大きく異なります。そのため、まずは売りたいエリアの不動産売却価格の相場を知りましょう。
【売却のコツ①】立川市の相場を把握する
売主が自身で不動産売却価格の相場を知る必要性はあるのでしょうか?不動産会社の担当者が売却額を決めてくれると思っていました。
もちろん、売却価格について不動産会社の担当者はアドバイスをします。とはいえ、最終的な売却価格を決めるのは、お客様自身です。そのため、相場を知らないと安く設定しすぎて損をしてしまったり、高く設定しすぎて売れ残ってしまったりといった事態が起こってしまうこともあるでしょう。
適切な価格で売りに出すには、エリアの相場を知っておくことが重要です。また、相場を掴んでおくと売れたときの満足度も違います。
相場より高い価格設定で売れることはあるのでしょうか?
まれに、狙っているエリアであれば多少相場より高くても買いたいという方がいらっしゃいます。ただ、ほとんどは相場の範囲内で決まります。相場より高く設定しても売れないと思っておいた方がいいでしょう。
立川市の相場は?
立川市の住宅価格相場は上がっているのでしょうか?
多摩地域の中では、唯一上がっています。たとえば、八王子市や国分寺市の相場は軒並み下がっていますが、立川市は上がっているのです。
一口に立川市の相場といっても、一戸建てとマンションで価格が違うと思うのですが、いかがでしょうか?
そうですね。それと広さによっても当然、相場は違います。たとえば、50~70m²くらいの中古マンションだと、3,500万円程度が相場でしょうか。70~90m²になると4,000~5,000万円が相場です。
一戸建てはいかがでしょうか?
一戸建ての場合も間取りによっての相場の変動はございます。中古建ての相場は4,000~5,000万円が多い印象です。
売りどきはいつ?
高く家を売るためには、いつ売るのか、いわゆる“売りどき”が重要ですよね?
そのとおり…なんですが、売りどきを判断するのは非常に難しいんですよね。
ただ、マンションや一戸建てに関しては、思い立ったときが売りどきということはできると思います。売却価格は築年数と反比例して下がっていくのが一般的です。待っていて価格が高くなるということはほぼありません。
土地に関してはいかがでしょうか?
土地に関しては、まわりの売出し物件などに左右されて上がる場合もあります。
購入時の価格より高く売れるケースはあるのでしょうか?
物件がすごく安いときに買っていれば、購入時より高く売れるケースもあります。たとえば2004年や2005年に建てられた物件は、建築資材が安く仕入れられた関係で、安く買うことができました。
その物件を今売った場合、購入金額より1,000万円高く売れたという事例があります。ただそれは、東京都心の話です。
立川市では、2004年に安い価格で購入した物件だからといって、高く売れるということはありません。相場くらいでないと売れないと考えて良いと思います。
参考)立川市での直近の取引価格情報
中古マンションなど(駅距離基準値:10)
専有部分面積70㎡ | 専有部分面積75㎡ | 専有部分面積80㎡ | 専有部分面積85㎡ | 専有部分面積90㎡ | 専有部分面積95㎡ | 専有部分面積100㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | – | – | – | – | – | – | – |
駅徒歩10分以上 | – | – | – | – | – | 7,100万円 | – |
※2019年取引価格中央値
戸建て(駅距離基準値:15)
延床面積80㎡ | 延床面積85㎡ | 延床面積90㎡ | 延床面積95㎡ | 延床面積100㎡ | 延床面積105㎡ | 延床面積110㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | 3,500万円 | – | 5,100万円 | 5,200万円 | – | 5,200万円 | – |
駅徒歩10分以上 | – | – | 3,100万円 | – | – | – | 3,250万円 |
※2019年取引価格中央値
参照:国土交通省「土地総合情報システム」
- 50~70m²の中古マンションの相場は3,500万円
- 70~90m²の中古マンションの相場は4,000万円~5,000万円
- 一戸建ての相場は5,000万円代後半
- マンションや一戸建ては、思い立ったときが売りどき
【売却のコツ②】立川市で高く売るために地域特性を把握する
地域特性を知るメリットとは?
家を高く売るためには、地域の事情や特性を掴むことが重要だと聞きました。なぜでしょうか?
たとえば、立川市をはじめとした多摩地域は住民の多くがファミリー層で、新しく引っ越しを考える方もファミリー層が多いです。そのため、単身用のマンションよりファミリータイプのマンションや一戸建ての需要が高くなり、相場も上がります。
反対に、東京都心では、ファミリータイプのマンションよりも単身向けマンションが人気です。…という地域特性を知っておけば、それに合わせた売価の付け方がわかってくるんですよね。
高く売るためには、地域の特性や需要に合わせた物件を売ることが必要なのですね。ほかに高く売るために重要な要素はありますか?
お客様自身が積極的に物件の魅力をアピールすることが重要です。
物件の良さを一番わかっているのは、売主であるお客様自身です。そのため、売却活動を不動産会社の担当者任せにするのではなく、お客様が魅力的なキャッチコピーをつくったり写真を撮影したりアピールポイントを考えたりなど、担当者と協力して売却活動を行うことでより高く売れやすくなると思います。
立川市の街の魅力は?
立川市のホームページによると、立川市の人口は18万3,822人で、世帯数は9万1,270世帯です(2019年時点)。市制施行以来、人口も世帯数も一貫して増加傾向にありますが、どういったところが人気の理由なのでしょうか?
ここまで商業エリアが大きい地方都市はそうそうありません。都心まで出なくても立川だけでたいていのものを買うことができます。
確かに、ルミネやロフト、伊勢丹、イケアなど、東京都下の中では商業施設が最も充実している街という印象がありますね。
大型ショッピングセンターだけではなく、立川駅周辺には深夜まで営業しているスーパーマーケットが複数ある点もファミリー層に人気の理由でしょう。
交通アクセスが良い点も人気の理由でしょうか?
そうですね。JR中央線の中央特快であれば、30分程度で新宿に行けます。
また、池袋、渋谷、横浜といった交通の要衝への所要時間もだいたい1時間圏内です。立川は、通勤するにも遊びに出かけるのも便利な街といえるでしょう。
そしてなんと言っても、立川市には昭和記念公園があります。
昭和記念公園に限らず、大きな公園が近くにある街は人気が高い傾向です。ファミリー層は、近くに公園があると子育てがしやすそうとイメージするのでしょう。
不動産価値に影響を与えそうな出来事は?
今後、立川市の不動産価値に影響を与えそうな出来事はありますか?
立川駅周辺エリアにおける最後の巨大開発ともいわれてきた『GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)』という新たな街区が2020年4月にオープンしました。
米軍立川基地跡地を利用した3万900㎡という広大な敷地にオフィスやホテル、商業施設などが入居しています。
周辺の土地価格や不動産価格に影響がありそうですね。
どれくらい影響するかは今の段階でははっきりわかりませんが、多少なりとも影響はあるでしょう。
2000年頃からおこなわれてきた立川駅周辺の大規模な再開発ですが、今後も続くのでしょうか?
立川駅周辺には、余っている土地が残っていません。そのため、土地価格や不動産価格にインパクトを与えるような大規模な再開発は、とりあえず現在のところで終了でしょう。
- 立川駅周辺は商業施設やスーパーマーケットが充実
- アクセスの良さも人気のポイント
- GREEN SPRINGSの開業が不動産価格に影響を与える可能性も
【売却のコツ③】売却を考える際に知っておきたいこと
早く売りたい人へのアドバイス
「相続税の支払いのため」「住み替え費用を捻出したい」など、一刻も早く家を売って現金化したい方も多いと思います。そういった方へアドバイスをいただけますか?
早く売りたいのであれば、住んでいる状態のまま売りに出すことをおすすめします。空室にする時間の分だけ、早く市場に出すことができるからです。
家を売るのに、必ずしも空室にする必要はないのですね。まだ人が住んでいる物件と空室の物件で査定価格に差は出ますか?
まだ人が住んでいるからといって、査定価格が安くなるようなことはありません。ただ、空室の方がより広く見えることは事実です。
まだ住んでいる家を内見するときに奥さん同士が仲良くなって、話がまとまって…なんていうケースもあるくらいです。
まだ住んでいる家を売った方が有利なのか、空室になってから売った方が有利なのかはケースバイケース、ということですね。
そうですね。ただ、一刻も早く売りたいというお客様であれば、いち早く市場に出すことが重要ですので、住んでいる状態で売りに出すことをおすすめします。
少しでも高く売りたい人へのアドバイス
老後の備えのためなど、時間は多少かかってもいいから少しでも高く売りたいという方もいます。そういった方は、どのような点に気をつければいいのでしょうか?
個人的な経験になりますが、高く売れているときは早く売れているときです。つまり、長く売っているからといって高く売れるわけではない、ということ。
反対に、長く売っていると値段を徐々に下げていくというケースが多い印象です。高く売りたいお客様には、建物検査をして保険をつけることや、ホームステージング(※)をおすすめしています。
高く売りたいのであれば、まずは購入したいと思う人数を増やすことが重要です。そうすれば強気の価格を設定できますし、反対に購入したい人が少なければ、価格も安めに設定せざるを得ません。
ホームステージング
ホームステージングとは、売却する物件にインテリアコーディネートを加え、プロのカメラマンに写真を撮影してもらうこと。
まずは買いたいと思う人をどれだけ増やせるかどうかがカギとなるわけですね。ホームステージングは自分でやっても構わないのでしょうか?
もちろん、お客様ご自身がなさっても構いません。ただ、質の高い写真を撮影して確実に集客に繋げたいのであれば、プロに依頼することをおすすめしています。
その他注意点
家は、ときに数千万円になる大切な資産です。とはいえ、多くの方が家を売りに出すことは初めての経験です。そのため、大切な資産をどのような不動産会社に任せるべきかわからない方も多いと思います。
不動産会社はどのようなポイントを重視して選べばいいのでしょうか?
不動産会社を選ぶというよりは、担当者との相性で付き合う不動産会社を選ぶべきではと個人的には思います。
なるほど。実際に家を売ってくれる担当者との相性が重要なのですね。
もちろん、担当者が良ければどこの会社でもいいというわけではありません。不動産会社の中にはアフターサービスがない会社や、10年後、20年後には残っていないであろう会社も珍しくないのです。
こういった会社に仲介を依頼してしまうと、たとえば10年後にトラブルが発生した場合、お客様ご自身で対処しなくてはならなくなってしまいます。ただ、しっかりとアフターサービスがついていて、歴史もある会社であれば、最終的に選ぶポイントは担当者との相性でしょう。
大手であれば、どこもサービス内容は大きくは変わりません。家の売却活動は数ヵ月から場合によっては年単位の時間がかかるもの。なんでも気軽に話せる担当者を選ぶことが重要です。
- 早く売りたい場合は住んだままで売りに出す
- 高く売りたいときはホームステージングを施す
- 不動産会社を選ぶポイントは、担当者との相性
住友林業 立川支店長・村田さんより
住友林業立川支店は、JR立川駅からすぐの場所にございます。立川支店にいるスタッフの約半数は実際に立川市に住んでいて、多くは子育て世帯です。そのため、自らの経験をもとに、ファミリー層の方向けに不動産の売却や購入のアドバイスをさせていただいております。
また、保育園事情など子育ての環境についても精通するスタッフがそろっている点も強みです。立川市や周辺エリアで不動産の売買をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
- 50~70m²の中古マンションの相場は3,500万円
- 70~90m²の中古マンションの相場は4,000万円~5,000万円
- 一戸建ての相場は5,000万円代後半
- 立川駅周辺は商業施設やスーパーマーケットが充実しており、またアクセスの良さも人気のポイント
- GREEN SPRINGSの開業が不動産価格に影響を与える可能性も
- 早く売りたい場合は住んだままで売りに出す
- 高く売りたいときはホームステージングを施す
- 不動産会社を選ぶポイントは、担当者との相性
今回は、住友林業株式会社立川支店支店長の村田さんにお話しいただきました。最後に、立川市における不動産売却の相場、立川市の街の特性、より高く売るためのポイントについて、最後に要点をおさらいしておきましょう。
不動産売却は高額取引になるため、売り時や販売方法を間違えると大きく損をしてしまう可能性があります。立川市で家を売りたい方は、上記のポイントを踏まえて後悔のない不動産売却のための戦略を練ってください。