- 高く不動産を売却するには相場の把握が必要不可欠
- 前橋駅周辺の地価は上昇している
- 再開発で商業施設が新しくできるなど、経済活動が活発に
- マンションや一戸建てよりも土地の売却価格が上がっている
群馬県の県庁所在地である前橋市は、県内で2番目に人口が多く、中核市でありながら市内には日本三大河川の利根川が流れ、日本百名山である赤城山も望むことができる自然豊かなエリアです。レジャー施設なども充実しており子育て世代にも人気。また、幹線道路に囲まれており、自動車における交通網も充実しています。
ここではそんな前橋市の不動産事情や地域特性、不動産を売却する流れなどを紹介していきます。
前橋市の近年の変化
- 前橋市では農業や畜産業が盛ん
- 地価は下落傾向
県内トップクラスの人口を誇る前橋市。近年の土地の査定額は県平均に比べ、高値で取引されています。そんな前橋市は全国的にも有名な農業都市でもあり、キュウリやバラなどの生産量は日本随一。赤城山麓では畜産も盛んで、全国トップレベルの乳量を誇る”酪農県”でもあります。一方、市街地では再開発の計画もあり、地価にも今後影響があるかもしれません。
しかし、前橋市の取引物件の平均坪単価は2018年と比較して微減しています。ただ、前橋駅周辺など都心へのアクセスがしやすいエリアは、主に若年層からのニーズが高く地価も市内では高水準です。
不動産売却の流れを把握しましょう
まずは、不動産売却の流れを把握しましょう。全体像を把握することで納得行く金額で不動産を売却することができます。
不動産売却の流れ
Step1:相場を調べる
▶相場を調べるところから不動産売却は始まります。
Step2:不動産会社に査定を依頼する
▶保有する不動産がいくらで売却できるか不動産会社に査定してもらいます。
Step3:不動産会社と契約を締結する
▶査定内容に問題がない場合は契約を締結します。
Step4:不動産の売却を始める
▶実際に不動産を売りに出します。
Step5:売却・引き渡し
▶買い⼿が⾒つかれば売却の⼿続きを⾏い、不動産を引き渡します。
不動産売却の際に重要なのは、「自分の不動産はいくらで売れるのか」という相場感を把握することです。不動産の売価をエリアの売買相場より高く設定しすぎると売れにくくなり、低く設定しすぎると自身が損をすることになります。納得のいく不動産売買を行うためには、プロのアドバイスや注意点を聞きながら売価を設定しましょう。
前橋市の相場を知ろう
- 一戸建てと土地は上昇、マンションは下落傾向
- 市街地より前橋駅周辺の地価が上昇している
- 中央前橋エリアが市内トップの地価
まずは前橋市の売却動向を簡単に掴んでいきましょう!
前橋市の地価・不動産相場の推移
前橋市の地価は、2018年と2019年で比較すると0.05%の下落。小幅な値動きになっています。2019年時点の平均地価は 55,018円/㎡(181,878円/坪)で、5年前と比べると、0.96%下がっています。ただ、群馬県全体の平均地価と比較すると、地価は高いエリアであるといえます。
前橋市の不動産取引を2019年第1四半期から2019年第4四半期の平均値で確認していきます。前半期と比較すると、一戸建てと土地の価格は上昇し、マンションは下落しました。保有している不動産がマンションの場合は、再度上がるタイミングを待つか、逆に早めに売却すると良いかもしれません。
前橋市の売却動向や売却相場の今後
前橋市の近年の地価相場を比べると、ほぼ横ばいに近いですが下落しています。前橋市のある群馬県の地価はここ7年間で前橋市以上に下落しており、県全体で比べると前橋市はニーズがあるエリアだと分かります。
前橋市の中で比べると、昔からの市街地エリアよりも駅前の需要が増えています。現在は中央前橋エリアが市内トップの地価であるものの、地価の上昇率としては前橋駅周辺のほうが上昇しているのです。これは東京などへの交通アクセスが至便な土地のニーズが高まっているからでしょう。関東圏では、ほかに宇都宮市や高崎市などの都市でもその傾向があります。
参考)前橋市での直近の取引価格情報
■中古マンションなど(駅距離基準値:10)
専有部分面積70㎡ | 専有部分面積75㎡ | 専有部分面積80㎡ | 専有部分面積85㎡ | 専有部分面積90㎡ | 専有部分面積95㎡ | 専有部分面積100㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | ¥11,000,000 | – | – | – | – | – | – |
駅徒歩10分以上 | ¥10,000,000 | ¥20,000,000 | – | – | – | ¥25,000,000 | – |
■戸建て(駅距離基準値:15)
延床面積80㎡ | 延床面積85㎡ | 延床面積90㎡ | 延床面積95㎡ | 延床面積100㎡ | 延床面積105㎡ | 延床面積110㎡ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
駅徒歩10分以内 | ¥11,000,000 | – | – | ¥15,500,000 | ¥18,000,000 | ¥26,000,000 | ¥24,500,000 |
駅徒歩10分以上 | ¥9,000,000 | ¥8,250,000 | ¥12,000,000 | ¥10,500,000 | ¥17,000,000 | ¥24,000,000 | ¥21,000,000 |
不動産価格に影響を与えそうなトピック
- 道路建築などの新しい公共事業は見込みにくい
- 人口が減少傾向にあり、地価が上がりにくい一因に
- 空き家率が全国平均よりも高い
- 前橋駅周辺は地価が上がっている
群馬県内では地価が高い前橋市ですが、県全体の地価は公共事業の増減で変化が見られます。その傾向は前橋市にも同様に及んでいます。特に近年は公共事業が減っており、その影響による地価下落が続いています。すでに幹線道路は多く、自動車における交通網には優れている土地柄ですが、その分新しい公共事業は望めないかもしれません。
また、人口が減少傾向にあることも地価が上がりにくい一因になっています。人口が減ることで当然購入希望者の絶対数は減り、親の土地を売却したい人が増える、という構図になります。さらに、空き家率は2018年の調査によると15.9%。そこから5年前にあたる2013年の13.3%と比べても上がっており、これは全国平均よりも高い数値です。
現在前橋市周辺に土地があり、今後売却予定があるのであれば、これ以上下落してしまう前に売却することを考えてもよいかもしれません。
参照:前橋市空家等対策計画
近年、比較的地価が上がっているのは前橋駅周辺です。都心部に出やすいエリアは今後も需要があるものと考えられます。このように、たとえ同じ前橋市内の物件であっても、エリアごとに需要の違いがあるため、事前にしっかりと調査をする必要があります。
【売却のコツ】地域特性を把握し、高く売るための戦略を練ろう
- 前橋市は古墳が多く、古くから栄えた街
- 農業や畜産業などが全国トップクラス
- 行政や文化の中心地
- 子育て世代への支援が手厚い
- 人口10万人当たりの医師数が多く、医療設備も充実
地域特性を知るメリットとは?
専門家でない限り、不動産売買に慣れているという人は多くありません。そのため、売却する際に不動産会社に丸投げしている人も少なくありません。しかし、不動産会社だけに任せるよりも、その物件や地域の特性について誰よりも詳しいあなたも一緒になって戦略を練ると、満足のいく売却成功に近づきます。地域特性をふまえた戦略を立てて、より高値で早く売れるようにしましょう。
たとえばエリアの特徴から、不動産の購入者層やその人が気になりそうな文言などを考えます。特に前橋市の場合、空き家も多く人口も減少傾向にあるため不動産購入の需要よりも供給のほうが高くなって、売るのが難しくなることが予想できます。
しかし前橋市は自然の豊かさや都心へのアクセスの良さなどの”長所”があります。そういった点をアピールポイントとして「東京にも出やすいうえに自然豊かな環境で子どもを育てられる」などとファミリー層に打ち出すこともできるでしょう。
自分の不動産を魅力的に訴求できるかはどうかは重要なポイントなので、まずは地元に詳しく、かつ不動産売買の専門家である不動産会社のスタッフと相談して考えることをおすすめします。
地域特性や歴史。前橋市の魅力を知る
■街の歴史と魅力
前橋市は群馬県の中南部にある都市です。市周辺には700ほどの古墳があったといわれるほど、古代からの歴史深い土地として知られています。今までに発見されている貴重な出土品も、それを証明しています。律令時代にはこの地域の中心地として栄え、いち早く仏教が広まりました。
江戸時代ごろから農業が盛んになり、明治時代には製糸産業が盛んになり、その後「県都前橋生糸の市」とうたわれるほど全国的にも有名になりました。
前橋市から見て赤城山麓の反対側には群馬県の商都として栄える高崎市があります。前橋市には県庁があり、日本銀行の支店や医療設備なども集中していて昔から行政の中心部として栄えていました。高崎市は東山道や鎌倉街道をはじめ、中山道や三国街道、日光例幣使街道などが通り、昔から交通の要衝でした。
あらゆる面で比較の対象にされやすいこの2都市は「行政や文化の中心は前橋、交通や商業の中心は高崎」というようにもいわれています。レジャー施設も多く、観光地としても人気がある前橋市。自然も豊かで川の伏流水が豊富なため、市の中心部でも水道水には綺麗な地下水が使われています。
また、子育て世代への支援も手厚く、人口10万人当たりの医師数が多く医療設備も充実しています。このような点もファミリー層のニーズが高い要因といえるでしょう。
■前橋市の人口推移
前橋市の2015年時点の人口は336,154人です。 前回調査があった2010年は340,291人でした。比較するとー4,137人で、比率では-1.22%と減少傾向にあります。人口は減少しましたが、世帯数は2.68%増加しており、新しく世帯を持つ層に不動産購入のニーズが一定数あるといえるでしょう。
参照:前橋市HP
前橋市で不動産売却する際のポイント・注意点
- 不動産取引数は県内1位
- 前橋市では今後人口が減少するという見通しがある
- 30代〜のファミリー層も減少の見込み
ポイント・注意点1
群馬県内での地価の最高価格地点は高崎市で、その次が前橋市です。ただ不動産取引件数では前橋市が一番多く、約4,000件の取引がありました。その次が約3,700件の高崎市です。隣接しているこの2つの市は県内でも人口が多く、それだけに不動産取引も活発だといえます。
不動産取引の件数が多いということは、購入を検討している人の数も多いと捉えることもできます。ただ、その分ライバルとなる物件も多いということにもなります。空き家の割合も高止まりしており、今後売却しようとしている人も増えると考えられます。ライバル物件に埋もれてしまわないよう、自分の不動産をどのように売り出すのか、しっかりと戦略を練りましょう。
ポイント・注意点2
前橋市のこれから先の人口を試算したデータがあります。そのデータでは、今後前橋市の人口は減少していくという見通しがされています。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2025年までに13,000人減少する想定のようです。また、自然が多く子育て支援も手厚いためファミリー層に人気があるものの、30代の人口も2025年までに8,000人減少するとなっています。売却する予定の不動産があるのであれば、購入対象者層である世代が減少する前に売ることも考えたほうがよいでしょう。
まとめ
本記事では、不動産売却の基本的な流れと、前橋市での不動産売却に役立つ相場情報や地価推移、坪単価、街の歴史などを紹介しました。
- 前橋市は県内でも地価が高いエリア
- 市街地よりも前橋駅周辺の地価上昇が顕著
- 地域特性に合った販売戦略が売却成功への近道
- 高く売るためには信頼できる不動産会社探しが重要
購入層をイメージしながら地域の特性と相場を把握し戦略を練ると、不動産を高く売れる可能性が高まります。前橋市の場合は人口減少が予想されているため、その前に売りぬくことが得策かもしれません。
また、不動産取引の際には、不動産会社の協力も重要です。前橋市で不動産売却を考えているのであれば、同地域の不動産売却の動向や傾向を調べたうえで、あなたが信頼できると思える不動産会社探しを始めましょう。