相続したマンション、売却するか賃貸に出すかどちらがおすすめ?

実家の分譲マンションを相続して相続人がそこに住まない場合、そのマンションはどうしたらいいのでしょうか。賃貸にするか、売却するか、どのように判断すればいいでしょうか。

また、分割しにくいマンションについては、相続の手続きや流れも気になるところでしょう。後々親族間で揉めないように、円満な相続を考えたいものです。さらに、相続する前に、税金や維持費などについても把握しておくべきです。

この記事では、マンションを相続する際の手続きと流れから、マンションの相続後の3つの選択肢とそれぞれのメリット・デメリットまで、詳しくご説明します。

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マンション相続の手続きと流れ 

マンション相続の手続きと流れ

マンションの相続手続きの流れ

不動産を相続する際に名義変更を行うことを、相続登記といいます。相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局で申請手続きを行いますが、法務局への申請の前に書類の収集・作成などの事前準備が必要になります。一般的に、次の1~8のような手順で進めていきます。

1.対象不動産の調査
相続不動産の登記状況や評価を確認します。
2.遺言書の有無の確認
遺言書があると、誰にどの財産をどれくらい相続させるかが明確になり、相続トラブルを防止する効果があります。
3.相続人調査
戸籍謄本等を取得して、相続人を調査します。
4.相続するか放棄するかの選択
被相続人の死後3ヵ月以内に決定します。
5.遺産分割協議
相続人全員で遺産の分割方法について協議します。
6.遺産分割協議書の作成
遺産分割協議の内容を明記し、相続人全員で署名・押印します。
7.法務局へ相続登記申請
申請書を作成し、集めた書類と合わせて法務局へ申請します。
8.相続税の申告
被相続人の死後10ヵ月以内に申告・納税します。

そのほかの内容については、下記の記事もご覧ください。

マンションを遺産分割する4つの方法を紹介

現金なら分割は簡単ですが、現物としてのマンションはどのように分割すればいいでしょうか。遺産の分け方には、主に次の4つがあります。

現物分割

遺産ごとに分割する方法です。例えば、遺産にマンションと預貯金があって相続人が2人の場合、1人がマンションを、もう1人が預貯金を相続します。ただし、遺産に不動産が含まれている場合は、遺産の大半を不動産が占めているケースが多く、不平等な相続になりやすいです。

代償分割

相続人の1人または数人がマンションを相続し、他の相続人にはマンションに見合う対価を金銭で支払う方法です。現物分割が困難な場合におこなわれます。取得できる財産は異なりますが、金額では公平となります。ただし、他の相続人に代償を支払う資金力が必要になります。

換価分割

マンションを売却して、その代金を分割する方法です。代償分割で見合う現金が支払えない場合などにおこなわれます。相続人全員が現金で受け取るので、より公平性が増します。

共有分割

マンションを物理的に分割せずに、マンション全体を複数の相続人が遺産分割協議や法定相続分に応じて共有する方法です。しかし、共有者全員が同意しないと売却できない、共有者の1人が亡くなるとさらに細分化されて権利関係が複雑化するなど、あとになってトラブルになることが少なくない方法です。

配偶者居住権を使った分割方法

配偶者居住権とは、相続が発生する前から配偶者が自宅に住んでいた場合、家の所有権を相続しなくてもそのまま住み続けることができる権利です。これは、残された配偶者が住み慣れた住居で生活を続けるとともに、老後の生活資金として預貯金などの資産も確保できるようにと新設されたものです。

この仕組みは、不動産の所有権を、住む権利(配偶者居住権)とその他の権利(配偶者居住権が設定された所有権)に分けて、別々の人がそれぞれの権利を相続することを認める仕組みです。つまり、配偶者居住権は住むだけの権利であって、所有する権利ではないということです。

例えば、遺産が自宅4,000万円と預金4,000万円で、相続人が配偶者と子ども1人の場合、1/2ずつ相続するので、配偶者が自宅を相続したとすると現金がなくなって生活が立ち行かなくなります。

そこで、自宅を配偶者居住権の価値2,000万円、その他の権利2,000万円に分離すれば、配偶者は自宅に住み続ける権利も保証されて今後の生活費も確保できますし、遺産分割も円滑になります。

配偶者居住権を適用するには法務局で登記をおこなう必要があります。登記をおこなわないと、所有者に家を売られてしまう恐れがありますので、注意しましょう。

具体的な例

  • 遺産……2000万円の価値があるマンション、2000万円の預貯金
  • 相続人……配偶者、子ども(一人)

①配偶者が不動産を相続、子どもが預貯金を相続した場合
配偶者の老後資金や生活費が不足する可能性があります。

②配偶者が預貯金を相続、子どもが不動産を相続した場合
子どもが不仲になった際に、配偶者が居住中の家を追われる可能性があります。

③配偶者居住権を使った場合
下記のような分割が可能になり、上記2つのパターンで生じる不均衡を是正できます。

不動産(権利を2つに分割)預貯金(金額を2つに分割)
配偶者1000万円分を相続
※配偶者居住権
預貯金1000万円
子ども1000万円
※そのほかの権利
預貯金1000万円

マンション相続に必要な名義変更(相続登記)の内容

マンションを相続するには、被相続人から相続人に所有権を移転する必要があります。これを相続登記といい、不動産の所在地を管轄する法務局に必要書類と登記申請書を提出しておこないます。これをおこなわないと、売却や賃貸契約などはできません。

登記申請には、不動産の固定資産評価額の0.4%にあたる登録免許税の納付が必要です。登記申請に期限はありませんが、長期間登記をしないままでいると被相続人の住民票や除籍謄本など相続登記に必要な書類が取れなくなることもあるので注意しましょう。

名義変更をしないまま相続人が亡くなると、次の相続人の相続手続きが複雑で大変になってしまいますので、速やかに手続きをおこなうのが望ましいでしょう。

相続登記の手続きに必要なもの

  • 登記申請書
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 相続関係説明図
  • 固定資産税評価証明書

マンションの評価方法

不動産は、基本的には土地と建物を別々に評価します。土地の評価は、路線価もしくは倍率方式によって計算されます。路線価や倍率については、国税庁のホームページでご確認ください。建物の評価の基本は固定資産税評価額×1.0です。したがって、固定資産税評価額=建物の評価額となります。

路線価

路線価とは、道路に付けられている価格です。路線価と、その道路に接している土地の面積を掛けて、土地の評価額を算出します。その土地の形状によっては、補正率をかけます。

路線価×補正率×面積=評価額

倍率方式

倍率方式とは、路線価が定められていない地域の土地の評価方法です。倍率方式では、固定資産税評価額を基に算出します。固定資産税評価額は、都税事務所や市区町村役場で確認できます。

固定資産税評価額×倍率=評価額

分譲マンションの評価額の計算方法

分譲マンションの場合は、建物と土地を共有しているため計算方法が少し違います。マンション全体の敷地は区分所有者全員で共有しており、共有持分のことを敷地権といいます。分譲マンションの土地の相続税評価額は、敷地全体の評価額に敷地権の割合を乗じて算出します。

路線価×面積×持分割合=分譲マンションの土地の相続税評価額

建物については戸建てと同じで、固定資産税評価額=相続税評価額となります。

【例】以下の条件のときのマンションの相続税評価額は?

  • マンション全体の敷地面積:10,000㎡
  • 路線価:40万円/㎡
  • 敷地権割合:2,000,000分の5,000
    =建物の固定資産税評価額:800万円
    (10,000×40万×2,000,000分の5,000)+800万=1,800万円

相続税の計算方法と申告・納税までの流れ

相続財産の分割方法が決まったら、相続税がかかるかどうかを計算します。相続税がかかる場合は、死後10ヵ月以内に相続税の申告と納税をする必要があります

相続税の申告は、遺産総額が基礎控除額を超えていたり、配偶者控除やその他特例制度を利用する場合には、必ずおこなわなければなりません。したがって、控除制度などを適用して相続税が0円になる場合でも、申告する必要があります。相続税には、次のような基礎控除が設けられています。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額

遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかからず申告も必要ありません。遺産総額が基礎控除を超えた場合には、適用可能な控除制度などがないか確認します。計算間違いや申告漏れがあるとペナルティが課されることもあるので、専門家に依頼してもいいでしょう。

相続税の計算が終わったら、相続人全員が共同で相続税の申告書に記名・押印し、被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署に提出します

相続税の申告手続きに必要なもの

  • 申告書

    身分関係の書類
  • 【被相続人】出生から死亡までの戸籍謄本、戸籍の附票、住民票の除票
  • 【相続人全員】戸籍謄本、戸籍の附票、住民票、印鑑証明書、マイナンバーカードまたは通知カードと運転免許証など身分証明書のコピー

    不動産関係の書類
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 地積測量図および公図の写し
  • 固定資産税評価証明書
  • 住宅地図
  • 名寄帳
  • 賃貸借契約書(貸地・借地がある場合)
  • 売買契約書、間取り図など

マンションを相続する際に利用できる特例や控除制度

小規模宅地等の特例

被相続人の自宅の土地や、事業に使っていた土地を相続する場合に、一定の条件を満たせば土地の評価額が最大で80%減になる、節税効果の高い制度です

居住用宅地であれば330㎡まで、事業用宅地であれば利用区分によって200~400㎡まで適用されます。適用を受けるためには、相続税の申告の際に、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります。

相続税の配偶者控除

相続税の配偶者控除とは、配偶者が取得した遺産額が、次の金額のうちどちらか大きい金額まで相続税が課税されないという制度です。なお、下記の金額のうちどちらか大きい金額を超えた場合は、超えた分に対してのみ相続税が課税されます。

  • 1億6,000万円
  • または配偶者の法定相続分

配偶者に自宅を贈与したときの配偶者控除(おしどり贈与)

結婚して20年以上経つ夫婦の場合、夫婦間で2,000万円まで非課税で自宅を生前贈与できる制度です。ただし、受贈者が贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に住み、その後も住み続けることなどの条件があります。

また、控除を受けるには税務署への申告が必要です。贈与税はかからなくても、不動産の名義変更をする際の登録免許税や不動産取得税は発生するので注意しましょう。

取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続した土地・建物・株式などに相続税が課されていて、死後3年10ヵ月以内に売却した場合に、譲渡所得から相続税額の一部を差し引く制度です。譲渡所得税は、次の計算式で算出されます。

{収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額}×税率=譲渡所得税額

この取得費の部分に相続税の一部を加算することで、税負担を軽減します。

相続したマンション、どうする?3つの選択肢

相続したマンションどうする

経年によってマンションの資産価値は下がるため、可能な限り早く決断する必要があります。逆に言えば、マンションを相続した際に最もやってはいけないのは、放置です。相続したマンションの活用方法としては、次の3つの選択肢があります。

  1. 居住する
  2. 賃貸にする
  3. 売却する

マンションは所有しているだけで固定資産税などの税金や、管理費、修繕積立金などの維持費がかかります。また、適切に管理・清掃しないと劣化を早めて資産価値を下げてしまうからです。①~③それぞれの選択肢について、メリット・デメリットをご説明していきます。

①居住する

相続したマンションにすでに住んでいる場合や、今後住むのに便利な立地である場合は、居住するという選択が自然でしょう。

メリット

  • 住み慣れた土地・住居で、近隣住民や周辺の状況も把握しているため、今までどおりの生活ができる
  • 家族の思い出のマンションを手放さずにすむため、心理的メリットもある

デメリット

  • 固定資産税や都市計画税が相続人の負担になるため、これらの税金を支払い続ける資金が必要
  • 別の持ち家に住んでいる場合は、煩雑な相続手続きに加えて、売却・住み替えの手間がかかる

②賃貸にする

相続したマンションに将来的に住むつもりがない場合や、マンションが遠方にある場合は、賃貸として人に貸し出すという選択肢もあります。

賃貸に向いているマンションは、築年数が浅いものや人気エリアにある、借り手がみつかりやすい物件です。マンションの近隣の不動産会社に相談して、査定や相場の確認、需要の有無、家賃収入と維持費を比較して採算がとれるかなどを確認しましょう。

メリット

  • 家賃収入により一定の不労所得が得られ、維持費をまかなうこともできる
  • 次の世代にも相続できる資産が残る
  • 人が住むことによって換気・清掃などが適切におこなわれ、家の劣化スピードが遅くなる

デメリット

  • 賃借人が快適に住めるようにリフォームや修繕が必要で、その費用がかかる
  • 不動産会社に仲介や管理を依頼する場合は、不動産会社に手数料を支払う必要がある
  • 空室状態が続くと、維持費を自己負担しなければならないため、事前の入念なシミュレーションが必要
  • 賃借人の部屋の使い方が雑な場合は、室内の汚れや傷みにより修繕費がかさむケースも
  • 不動産会社にすべて丸投げはできないので、マンションを所有し続けるかぎり維持・管理の手間がかかります

③売却する

すでに持ち家がある場合や、遠方で管理することが難しい場合は、売却するのも選択肢の一つになるでしょう。売却すれば、それ以降は維持費はかかりませんし、管理などのわずらわしさもありません。

また、多くのマンションの法定耐用年数は47年と定められています。毎年減価償却をしていき、最終的に償却がゼロになる、つまり建物の価値がゼロになるのが47年ということです。耐用年数=寿命ではないので住めないわけではありませんが、資産価値はほとんどなくなってしまいます。築年数が47年に近い、もしくは過ぎている場合は売却をおすすめします。

メリット

  • 維持・管理の費用や手間がかからない
  • 売却益により、まとまった現金が得られる(※ただし、中古マンションが飽和状態になりつつあり、売却するまでに時間を要するケースも)

デメリット

  • 思い出の詰まったマンションを売ることになり、資産が残らない
  • 予想以上に高く売れた場合に、他の相続人から不満が出ることがある
  • 資産を売却することによって生ずる所得には、譲渡所得税が課される(※取得費加算の特例という控除制度あり)

どの選択肢を取るか、迷ったときの考え方

不動産相続で迷ったら

ここまで、相続したマンションの活用方法について説明してきました。しかし、居住すべきか賃貸にすべきか売却すべきか、判断に迷い決めきれない方もいると思います。
その場合は次の2点を検討してみてください。

将来的に住む可能性があるか?

賃貸にするか売却するかの判断基準のひとつとなるのが、将来的に相続したマンションに住む可能性があるかどうかです。ご自身だけでなく、子どもや親族が住む見込みがあるならば、資産として残しておくことを検討してみるのが良いでしょう。

そして、将来住むことになるまでの間、賃貸にしてどのように収益を上げていくかを考えます。例えば、引退後は地元に戻りたい、子どもが自立したら今の自宅を子どもに譲って相続したマンションで老後を送りたい、などの将来像を描いているなら、あらかじめ定めた契約期間のみ賃貸にする定期借家契約という方法もあります。

一方、将来的に誰も住む可能性がない場合は、早期に判断・行動しなければなりません。マンションをただ放置していても、収益を生まず、時が経てばたつほど資産価値は下がってしまいます。したがって、資産価値がもっとも高い段階で売却すべきという判断になるでしょう。

借り手・買い手のニーズがあるか?

賃貸にするにしても売却するにしても、利益を得るためには需要があることが前提です。その地域にニーズがあるかをしっかり把握し、賃貸か売却かを決めるといいでしょう。困ったときは、その地域に精通した地元の不動産会社に相談しましょう。

さて、ここまで、相続したマンションの活用方法と選択の際の判断基準についてご説明してきました。ただ、これらの選択肢は、相続手続きがきちんと行われてこそ検討できるものです。ここからは、マンションを相続する際の手続きと流れについてもご説明していきます。

まとめ

相続したマンションへの対応で代表的なものは、「居住する」「賃貸にする」「売却する」の3つです。

相続したマンションには、次の3つの選択肢があります。

  1. 居住する
  2. 賃貸にする
  3. 売却する

それぞれにメリット・デメリットがありますので、ライフプランやコスト面を慎重に検討して判断しましょう。

また、マンションを相続すると相続税がかかることがありますし、①~③のどれを選択してもそれぞれ税金がかかります。それぞれについてシミュレーションしてから判断するといいでしょう。判断に迷った場合は、税理士などの専門家に相談してください。

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